粉飾決算とは何か?

会計士試験を勉強している受験生にとって『粉飾』という言葉は聞き馴染みがあるかと思いますが、どうやって意図的に財務数値を操作するのか、その手口や背景までを想像することはないでしょう。

今回は少しでも会計における粉飾のイメージを持って頂けるように具体的な事例の紹介し、不正や粉飾を考える上で欠かせない内部統制の存在、粉飾の背景、粉飾の実行者といった切り口でについても見ていきましょう。

粉飾の種類

粉飾の手口には様々な種類がありますが、大きな切り口としては『売上の過大計上』か『費用の過少計上』かの2つしかありません。今回はイメージしやすいように売上の過大計上の代表的な手口を紹介します。

売上の過大計上

売上の過大計上の代表的な手口でいうと循環取引が挙げられるでしょう。

循環取引とは、実際に商品を動かさずに帳簿上だけの売買取引を記録して、複数の企業間で転売を繰り返す手口です。自分が売ったものを最終的にまた自分が仕入れるため、『循環取引』と呼ばれます。

転売を繰り返すごとに売上と仕入は膨らんでいきます。循環取引は実際の資金決済も行われるので、発見が容易ではないと言われます。

押し込み販売も典型的な売上の過大計上の手口です。

押し込み販売とは、買い手に必要以上の商品を無理やり販売することで、業績目標の帳尻を合わせることです。買い手側は不要な在庫を抱えることになるため、後日返品するか資金決済を融通する等の見返りが伴います。一連の流れを見た場合、本来売上に計上すべきものではありませんが、実際に商品が出荷され、受領書も入手しているという事実だけを見ると、こちらもやはり発見は容易ではないと考えられます。

このように不正は発覚されないように巧妙な隠蔽が伴うこと多いのです。そして不正・粉飾を考える上で欠かせないのが内部統制の存在です。この点については後述します。

内部統制の存在を考える

もし売上を計上するのに誰もチェックも受けずに、営業担当者個人でシステムに売上入力が出来る会社であれば、誰でも簡単に不正に売上を計上することは簡単でしょう。

しかし、普通の会社では売上入力と同時に注文書や受領書といった売上の根拠資料と合わせて上司のチェックを受けたり、そもそも営業担当者が売上入力できないように職務分掌が行われています。この様な内部統制が構築されており簡単に架空売上を計上できない仕組みがあるのです。裏を返せば、不正は内部統制の穴を突いたり、上層部の人間によって内部統制を無効化することで行われます。

どのように粉飾が行われるか考える時には内部統制のどこに穴があるのか、この内部統制は会社のどの階層の人間であれば無視できるのかといったことも併せて考えると良いでしょう。そうすることで不正を実行する機会についてよりイメージがしやすくなります。

 

粉飾の背景を考える

それでは、何故粉飾するのでしょうか。例えば外部公表数値を良くして株主から責任追及を逃れようとして、粉飾決算を行ったり、また経営者が、業績を良くするように現場に圧力をかけ、部門や支店が自己保身のために粉飾を実行する場合もあります。その他には銀行からの借入をこれまで通りの条件で継続できるように業績を良く見せることも考えられます。

このように粉飾を行うにはそれなりの事情が会社にあるはずです。経営者、役員、部長または従業員といった各階層の人間がどのようなプレッシャーを受けているのかを理解することは粉飾の糸口を掴む上で重要と言えるでしょう。

粉飾の実行者の観点で考える

粉飾は会社の上層部により実行されることが多いと考えられます。先ほどの事例でもあった循環取引や押し込み販売も形式的な資料のつじつま合わせは当然行われ簡単には発覚しない細工が行われます。

巧妙に細工された売上の過大計上を発見することは容易ではありませんが、例えば自分が経営者ならどうやって不正を実行するか、どのように隠蔽するかといったことをイメージすることは、いざ監査の現場に出た時に役立つ思考です。是非頭の片隅に留めておいて下さい。

内部統制の存在、粉飾の背景、粉飾の実行者のそれぞれの観点から考えて欲しいことをお伝えしました。実務を経験したことの無い受験生にとっては粉飾を具体的にイメージすることは難しいですが、この3つの観点を用いるとイメージが掴みやすくなるかと思います。

まとめ

投資家を欺くような巨額の粉飾が発覚した時は、上場廃止、課徴金による制裁、社会的信用の失墜による顧客離れなど会社の事業継続の根幹を揺るがしかねません。裏を返せば、会社が粉飾を行ってまで経理処理するのは、それほど追い込まれている状況と言えるでしょう。

皆さんが監査の現場に出たときは、例えば会社の内部統制に穴がありそうだと判断すれば、内部統制部や経理部の方々とディスカッションし、不正を予防する内部統制や発見する仕組みを構築できれば、不正を実行する機会を無くすことが出来るかもしれません。苦しい時こそ会社が正しい判断をできるように導けるそんな会計士になることを皆さんに期待しています。

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