AIで監査を効率化。仕組みと現状

さまざまなITの進化が注目される中で「AI」は特に目にする機会が多いキーワードではないでしょうか。しかし実際に「AIってどんなことができるんだろう?」「本当に日常生活やビジネスの世界で使われているんだろうか?」と感じている方もいらっしゃると思います。

特に「ITの進化でなくなる職業」として度々会計士が取り上げられていると、「AI」が会計の世界にどのように入り込んでくるのか、どんな業務に関わってくるのかが重要になってきます。そこで今回は「AI」でどんなことができるのか、「AI」の現状や仕組み、そして会計の世界と「AI」がどのように関わるのかを「不正会計」を中心にご紹介します。

監査法人のAI化に興味がある方は是非こちらも合わせて御覧ください。
「監査法人にもAI化の波。公認会計士がAIに代替される時代?」

最新のAIってどんなことができる?

「AI」はArtificial Intelligenceの略で日本語では「人工知能」と訳されます。コンピューター上で人工的に作られた知能で、人間が命令・指示をしなくても人工知能自身が考え、判断をすることができるものです。

身近なものでは「将棋」などのゲームの対戦相手が「AI」です。またネットショッピングをしていると画面に出てくる「あなたにオススメの商品はこちら」にも「AI」の技術が使われています。普及が拡大しているスマートフォンの中の対話型の「AI」も使ったことがある方が多いと思います。

ビジネスの世界では「チャットボット」と呼ばれる「AI」の活躍が目立ちます。以前は製品やサービスについて質問がある場合には問い合わせ窓口に電話やメールでの連絡が主流でした。最近ではその場で質問を入力するとパソコンの向こう側にサポートスタッフがいるような感覚で回答が返ってきます。この仕組みも「AI」によるものです。

また会計ソフトのデータを読み込み、過去の膨大な情報から的確な集計・分析なども「AI」の得意分野です。今まで人間が行っていた集計・分析も「AI」であれば短時間で完了するため、時間短縮になり、空いた時間で人間は人間にしかできない分析をすることで業務効率化が可能となります。

このように私達の生活やビジネスの中にも少しずつではありますが、着実に「AI」が浸透し、広がり、役に立っています。

AIによる監査の現状と仕組み

では会計の世界ではどうでしょうか。企業などのさまざまな法人の決算書が正しく作成されているか、間違いや不正がないかを証憑をもとに調べるのが監査です。その監査を「AI」がすべてできるか、すべてできるようになるか、と言われる100%肯定することはできません。

さらなる技術革新でいつかすべて「AI」でできるようになる可能性はあります。しかし現状では監査の一部を「AI」に任せ、人間の目との両立で監査の精度を上げたり、監査期間を短縮したりするなどの活用方法が多くなっています。

次に監査業務の1つである「証憑突合」を例に仕組みを見ていきましょう。通常の証憑突合では大量のデータの中からサンプルを収集しテストを行います。この作業をニンゲンの手で行うと膨大な時間と手間がかかります。しかし「AI」なら会計ソフトからのデータの取り出し、過去の実績に基づいたテストの実施までを自動で行うことができます。

「AI」は今まで以上に高品質な監査の実現するためのツールとして利用するのが主流となっています。

AIが不正会計防止に役立つ3つの要因

では「AI」がどのように不正会計防止に役立つのかを見ていきましょう。

通常、不正会計を発見するには知識と経験を積んだ熟練のスキルが必要です。当然のことながら、手間と時間がかかりますし、不正を見落としてしまわないかという不安もつきまといます。

しかし「AI」であれば大量のデータから学習した内容と異なるパターンであっても、どの勘定科目の経費がかさんでいるかなどを人間よりも早く発見し、過去のデータと比較しておかしいところがないかを判断することもできます。また画像データ化された領収書の中に紛れた不正な証憑を「AI」が見破ることができれば不正に対してのけん制となります。

またAIの解析結果と人間の解析結果を比較し誤差や違和感などから不正を発見することもできます。しかし巧妙な不正をすべて「AI」が発見するのには限界があります。最終的には人間の目が必要です。そのため「AI」をよく知り、人間が「AI」を使いこなすスキルの習得必要になってきます。

そして「AI」を活用し、間違いや不正を減らしていくことで健全な決算申告が行われるようになるのが理想です。「不正をしても誤魔化せない」「監査の精度が向上したから不正は必ず見つかってしまう」と最初から不正をさせない仕組み、体制を作ることができるようになります。

まとめ

「AI」は不正会計の防止を今まで以上に高精度で行うための重要なツールであることは間違いありません。しかし単純に「AI」を導入すればよいわけではありません。「AI」をどのような業務で導入すればよいかの判断や実際に「AI」を利用するための人間のスキルアップが必須です。

監査の仕事にはクライアントとのコミュニケーションや信頼関係が重要で、その部分は「AI」ではカバーできません。「AI」を導入し、監査の品質の向上・時間の短縮を実現し、その分人間はより詳細な監査や監査後の分析や経営計画の立案などのクリエイティブな業務に注力することで、クライアントからさらなる信頼を獲得することができるようになるのです。

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