カネボウ事件-不正会計の事例

誰もが一度はカネボウ事件について聞いたことがあるのではないでしょうか。

カネボウ事件は、大企業であるカネボウと中央青山監査法人が共謀し、巨額の粉飾決算をしていたことが話題となりました。

監査役の法人の本来の役目は、事件が起こらないように監視すべき立場です。
その監査法人が共謀していたという事実に、世間は大きな衝撃を受けました。

裏側には、監査法人と企業の癒着があります。

今回のような事件を再び起こさないようにと、交代制度が強化されましたが、この制度が普及すれば事件が起きる可能性は低くなるとも見られています。

今回は、2005年に起きたカネボウ事件の概要と、どのような処分が下されたのか、また事件の起きた背景などご紹介します。

カネボウ事件の概要

カネボウ事件とは、カネボウが巨額の粉飾決済をしていた事件です。

粉飾決済の額は2,150億円にものぼり、世間を驚愕させました。

事件が明るみに出る前から、日常的にカネボウでは粉飾決算が行われていた事実もわかり、粉飾決算に対しての民間の認知が高まった事件でもあります。

例えば2004年の粉飾決算では、損失を5回に分けて計上し、2000年の3月期から2004年の3月期までの決済を訂正した事実が明らかになりました。

この事実により、2000年の3月期から2003年の3月期までの黒字計上が訂正され、4年連続で赤字になります。

そのため、9期連続の債務超過となっていたことも明らかになりました。

カネボウ事件での粉飾決算の内訳は、以下の通りです。

  1. 意図的に連結を外していた取引先の毛布メーカーなど不採算関連会社が15社ほどあったのに、660億円もの損失を隠していたことが明らかになりました。
    興洋染織などの赤字経営の会社が債務超過になることを避けるため、意図的に連結を外していたことが問題になります。
    実際には、興洋染織は2004年1月期の時点で、1,000億円を越える損失が出ていました。
    興洋染織は、1997年に経営不振に陥りますが、カネボウ側が支援を求められたことで財務内容を調査することになります。
    調査していた段階で、580億円の損失が出ていたにも関わらず、連結を外していました。
    なぜ連結外しが問題になったかと言えば、当時の連結決算では「支配力基準」が設定されておらず、法の網の目をくぐって、意図的に連結を外したことが論点にもなりました。
    カネボウでは、カネボウ物流という子会社を創設し、その会社に業務を譲渡し、譲渡した会社が清算するなどの対応をしていたこともわかります。
  2. 在庫や繰延税金資産など投融資を過大評価していた長期の滞留在庫があったにも関わらず、損失を未処理のままにして、1,210億円の損失を隠していたことも問題になりました。
    売れる見込みがない在庫は、本来期日中に廃棄する必要がありましたが、カネボウではその不良在庫を翌期以降に繰り延べるという手法を取っていたことが論点になります。
  3. 売り上げの過大評価を行っていた
    損失が280億円あったことを隠していたことが問題になりましたが、こちらも在庫に関連しています。
    本来不良在庫は廃棄すべきでしたが、この在庫を利益に見せかけるため「押し込み販売」などの手法を取っていたことが問題になりました。

他にも粉飾決算のために、裏で悪事を働いていたとされますが、実際に問題になったのは上記の3つの問題です。

当時のカネボウの監査を行っていたのは、中央青山監査法人であり、足利銀行粉飾事件が起きた時にも、管理がずさんだとして戒告処分を受けています。

ちなみに、中央青山監査法人が担当した粉飾決算会社には「山一證券の損失隠し」「ヤオハンの損失隠し」「ケイビーの売上高の水増し」「アソシエント・テクノロジーの売上高の水増し」「三谷産業の利益の水増し」「足利銀行の繰延税金資産過大計上」などがあります。

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カネボウ事件の処分

カネボウ事件を受けて、中央青山監査法人の4会計士が共謀罪で逮捕されます。

当時のニュースによると、中央青山監査法人の4人は、カネボウの社長と共謀した上で、800億円を超える粉飾を知っていたにも関わらず、有価証券報告書に偽造の記載をしていたことも明らかになりました。

また他のニュースでも、カネボウが経営難に陥った原因の会社「興洋染織」が嘘の報告(債務超過額を過小評価)をしていたことも報じられます。

カネボウは、粉飾決算が問題になった当時、興洋染織に1,000億円の支援をしており、その中の522億円が焦付きを起こしたことで、自主再建を断念することになります。

なぜ、癒着や馴れ合いが起きてしまったかの理由には、大きく2つが挙げられます。

  1. 当時会計士にとって企業は監査法人内での地位や名誉を得るためのお客という考えが蔓延していたからお客が大企業であるほど、会計士の発言力も増す状態にあったため、今回のような不祥事も起きたと考えられます。
    今回のカネボウ事件を受けて、この体質を打開すべく、監査人の交代制の導入の徹底が叫ばれ、交代の年数が7年から5年に短縮されました。
    事件を再び起こさないようにするためにも、会計士の交代だけでなく、法人自体の交代も必要だとの認識が広まります。
  2. 監査を受ける会社が監査報酬を支払うというシステム自体の問題性監査会社からしてみれば、高額な監査報酬を支払ってくれる企業は良い得意先になる可能性もあります。
    上記でも述べた企業が監査法人をお客として見ていることにも通じますが、監査費用をもらっている立場の監査法人からすれば、痛くもかゆくもない企業の腹を探って、危険を犯す必要はありません。
    その意味でも、不正が蔓延していたのは、一つに監査法人と企業が得意先として繋がっていた部分は大きいでしょう。
    交代制の導入が徹底され、交代年数が5年という厳しい結果になったのも、これらの不正を正す意味合いが強いです。

まとめ

カネボウのような大企業が粉飾決算を行っていた事実と、その内容が巨額だったことで一時期話題になった事件です。

監査法人は、本来は監視する役目であり、昔の言い方で言えばお目付け役的存在です。

監査法人が共謀してしまえば、これからも粉飾決算の事件は生まれる可能性もあります。

カネボウ事件を受けて、粉飾決算が今後起こらないような制度も必要になるでしょう。

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