エンロン・ワールドコム事件-不正会計の事例

会計士業界のことに詳しくない人でも一度は「エンロン」と「ワールドコム」の事件について聞いたことがあるのではないでしょうか。

アメリカ大手企業「エンロン」と「ワールドコム」の粉飾決算疑惑により、当時のアメリカでも大問題になりました。

本来監査するべき監査法人が機能していなかったこともありますが、どの法人にも一社の監査法人が関与していたのは驚きです。

監査法人の役目を再び確認すると同時に、SOX法がなぜ生まれたのかも知っておきましょう。

今回は、アメリカのエンロン事件とワールドコム事件の概要やその後をご紹介します。

エンロン事件概要

エンロンとは

エンロンは、アメリカを代表する優良企業で、テキサス州ヒューストンで、1930年エネルギー会社として生まれました。

レーガン大統領が赴任時に出されたエネルギー産業の規制緩和によって、世界16位の大企業にと成長します。

事件の原因

エンロン事件は、粉飾決算発覚が原因で起きました。

利益の水増し計上だけに飽きたらず、簿外債務の隠蔽などが発覚し、2001年におよそ160億円もの借金を抱えたまま倒産します。

エンロンが破綻したこと原因でもある、大手監査法人のアーサー・アンダーセン氏の関与も関係し、アメリカの企業全体に不正会計疑惑が生まれます。

結果、エンロンショックとしてアメリカ企業全体に粉飾決算が広がっていきます。

問題視される最大の理由

エンロン事件が問題視される最大の理由は、本来監査すべき役割の監査法人が不正に手を染めていたことです。

アーサー・アンダーセンの不正が発覚したことで、米国証券取引委員会(SEC)の摘発を受けたこともあり、サントラスト・バンクスも長年の契約を打ち切りました。

監査法人の老舗「アーサー・アンダーセン」が関与していた事実は、アメリカの企業に大きな影響を与えました。

本来は一番信頼されるべき監査法人だったこともあり、アメリカの企業すべてが不正しているのではないかとの懸念は当然のことでしょう。

エンロン事件は、結局エンロンの破綻で終結しましたが、その後のアメリカの経済にも大きな影響を及ぼしています。

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ワールドコム事件概要

ワールドコム事件とは、長距離通信会社だったワールドコムが不正な会計処理をして、2002年に倒産してしまった事件です。

410億ドルもの負債

エンロン事件と似ていますが、負債総額はエンロンの遥か上を行く、410億ドルもの借金を負うことになります。

この負債額は当時のアメリカでも最大規模であり、こちらの事件もまたアメリカの経済に大きな影響を及ぼしました。

ワールドコム事件では、ITバブルの崩壊やスプリント・ネクステとの合併に失敗したワールドコムが粉飾決算を使い、経営状態をごまかしていた事件です。

回線接続料などは、本来営業費用に計上すべきですが、ワールドコムは設備投資として、資産に計上していました。

問題視される最大の理由

ワールドコムが問題になったのにも、エンロン事件のように監査法人が関係していたからです。

エンロン事件でも問題になったアーサー・アンダーセンが監査をしており、ここでもアーサー・アンダーセンは監査をしっかりとしていなかったことがわかります。

エンロン事件とワールドコム事件に加担したとして、アーサー・アンダーセンは信頼を失い、解散となります。

2つの事件はどのように処分された?

エンロン事件とワールドコム事件の両方に加担していたアーサー・アンダーセンは、解散となりました。

経営陣の刑事責任追及も行われ、当時のCEOであったエバーズ氏もまた、虚偽や詐欺の財務諸表を提出したとして、禁固16年の実刑判決を受けています。

エンロン事件以降、アメリカでは続々と粉飾決算が発覚していきます。

小売業のKマートの例を見てみると、従業員から会計処理に関する内部告発が起こり、粉飾決算が発覚します。

他にも、海底ケーブル通信を専門としていたグローバルクロッシングもまた、架空取引があったとして起訴されています。

コーポレート・ガバナンスの義務化

これら二つの事件を受けて、アメリカではコーポレート・ガバナンス(企業統治)が重要視されるようになりました。

NY証券取引所やナスダックが、SECに上場基準改正案を提出します。

これによりアメリカのすべての企業にコーポレート・ガバナンス委員会の設置が義務付けられることになります。

またエンロン事件当時に、多額の投資資金を回していた投資家もいましたが、当然破綻の憂き目にあいます。

SOX法の施行へ

ただ、エンロン事件やワールドコム事件が起きたことで、同様の事件を回避するために「SOX法(上場企業会計改革および投資家保護法)」が施行されることになります。

SOX法が成立したことにより「コーポレート・ガバナンス」や「企業の情報開示」「監査業務の独立性」「説明責任」が取り決められることになり、この法律に違反した場合は厳しい罰則も設けられます。

エンロン事件では、アメリカの企業の営利活動の透明性に対する不信感が募ったこともあり、コーポレート・ガバナンスの見直しがされるきっかけにもなりました。

また2002年には、上場会社コーポレート・ガバナンス委員会が設置されたことも、企業の在り方を示す指針になっています。

まとめ

本来監査の役目を担うはずの監査法人が不正を手助けしたことにより、エンロン事件とワールドコム事件は起こりました。

二つの事件が大きく取り上げられたのは、大企業が数多く存在するアメリカの企業だったことも要因になっています。

粉飾決算は現代でも大問題ですが、監査法人の在り方を見直すきっかけとなった事件でもあります。

エンロン事件とワールドコム事件の教訓を忘れずに、企業の事業の透明化やコーポレート・ガバナンスもまた再確認の必要がありそうです。

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