AIで会計士の仕事がなくなる?

AI化と働き方改革の波が監査法人を取り巻く環境を変えつつあり、会計士の働き方は今大きな転換期を迎えています。

会計士受験生の皆さんは合格後、大手監査法人を目指される方が多いと思います。その大手監査法人でのこれからの『働き方』とはどのようなものか、事例を交えて紹介したいと思います。

AI化の波

近年の監査法人では人手不足が叫ばれており、論文試験に合格すれば大手監査法人に就職できるチャンスはかなりあると言えます。就職氷河期では受験生は試験に合格しても監査法人に就職できるのかという先の見えない不安がありましたが、今はそうでもない状況と言えるでしょう。

むしろ会計士の仕事は将来AIに奪われるというニュースの方が今の受験生にとっての関心ごとではないでしょうか。AIは日々進歩しており、いずれ会計士の仕事は無くなると予想されています。実際はどうなのでしょうか。

AIは監査に活用する時代へ

まずAIにより会計士の仕事は無くなるのか無くならないのかですが、日本公認会計士協会の見解はもちろんNoです。

むしろ今監査の現場では積極的にAIを活用しようしています。その狙いは定型的な業務をAIに任せ、会計士の時間を経営者とのコミュニケーションや高度な判断を伴う業務に注力することにあります。この様な動きの中、大手監査法人も様々な取り組みをしています。

監査法人での取り組み事例

実際に大手監査法人での取り組みを一部紹介します。

例えば、新日本(EY)では会計仕訳の異常検知を行うアルゴリズムを開発し、会計仕訳の異常検知を行うシステムを導入し始めています。

トーマツ(Deloitte)では、関与先の財務・非財務データ・属性情報や外部データと組み合わせて分析・視覚化するAudit Analyticsというツールを活用しています。

大手監査法人の監査先は、グローバル展開している企業が多く、取引の量や種類も膨大であり、エクセルだけで監査をするのは限界があります。膨大なデータを処理するシステムを開発・導入することで、監査の効率化やこれまで気がつかなかった特性や傾向をあぶり出すことに役立てようとしています。

受験生の方々も大手監査法人に入ることになれば、このようなツールと向き合うことになるでしょう。

女性と数字

監査法人での働き方改革の事例

監査の現場に新たなツールが導入される一方で、働き方改革も同時進行で行われています。
監査法人も一般企業と同様に働き方改革を求められる時代であり、各法人はそれぞれ施策を打ち出しています。

例えば、あずさ(KPMG)では、平日21時以降の法人内ネットワークへの接続を制限する取り込みをしています。あらた(pwc)でも夜間・休日のメールや電話を制限するコミュニケーションルールを設定しました。

トーマツ (Deloitte)ではデリバリーセンターを設立し、基礎的なデータ入力やチェック業務、機械的な作業を標準化して処理を行っています。また現場アシスタントの活用も行なっており、日程調整などの業務を任せることで会計士の時間の捻出につなげようとしています。

この様にAI化と働き方改革の両方が監査法人での働く環境を大きく変えつつあり、まさに転換期と言えるでしょう。

残高確認状の事務作業は外注

これまで論文式試験に合格したてのスタッフが経験する伝統的な業務にも改革があります。大手監査法人に入所したてのスタッフがまず任されるのが残高確認状の発送業務でしたが、これからはスタッフ自ら発送する必要はなくなるかもしれません。

2018年12月に4大監査法人が共同出資して「会計監査確認センター合同会社」を設立しました。その名の通り残高確認状の発送や回収管理を行う組織であり、いわゆる残高確認状の事務作業の外注先になります。スタッフは膨大な確認状の事務作業から解放され、より専門的な業務にシフトできるようになるのです。

今後求められる能力

最先端のツールの導入、時間制限、業務の標準化、残高確認状の外注など大手監査法人はここ数年で様々な取り組みをしており、今現在も知恵を絞っています。

これから大手監査法人に入所する方々は数年前に入所した先輩達と経験する業務そして求められるスキルは大きくことなります。

最先端のツールをしっかり使いこなすのはもちろん、定型的な事務作業は自分がするのではなく、任せるところに任せて期限通りに物事が進むようにマネジメントする必要があります。このマネジメント能力がこれまで以上に重要な時代になってきているのです。

これから入所される方々に求められることは以前と比べて難しいかもしれせんが、逆に言えば本来の会計士としての仕事に早くから向き合えると言えるでしょう。

まとめ

一昔前は繁忙期といえば夜中の1時、2時は当たり前でした。しかし今はそういうわけにいきません。仕事の効率を上げて制限時間内に仕事をやり切る必要があります。

一方で変わらないものもあります。それはプロフェッショナルとしての自己研鑽です。働き方改革で時間が捻出された分だけ、会計基準や英語の勉強に時間が割けるようになったわけです。是非マネジメント能力の高い一流のプロフェッショナルを目指して下さい。

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